それでも頑張っている人達
だから事業仕分けというのは、行政の支援を必要しているような社会的な弱者に、これ以上行政に対する文句や要求を言わせないようにする、という危険性をはらんでいる。もし事業仕分けと歳出削減の結果として、行政に対する不満の声が小さくなったとしても、それは「これ以上行政に期待すると『わがまま』と思われるからやめとこう」という、きわめてネガティヴな自己規制でしかなく、健全な信頼感に由来するものでは決してない。実際、ほんの4,5年ほど前までは盛んだった病院と医師に対する批判がすっかり影を潜めたのは、「医療崩壊」などの報道で勤務医の劣悪な労働環境が認知されたことによるものであって、患者との間に信頼感が構築されたからでは断じてない。  いずれにしても、「少ない財源の中で我慢しなければ(我慢してないやつはけしからん)」などと、ますます国民世論が思い込むようなったら危険なことである。行政をうまく活用して豊かな社会を再建しようという、そういう前向きで健全な議論があまりに少ない一方で、行政になるべく頼らないでみんなで苦労すべきであるかのような(あるいはそれこそが日本経済を立ち直らせるんだと言わんばかりの)、後ろ向きの世論が蔓延しているように思われるのが気がかりである。
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