現在のようなゼロ金利状態では、日銀にできることは限られており、需要が冷え込んでいるとき通貨をいくら供給しても、インフレが起こるはずがない。根本的な対策は、日本経済が長期的に成長するという期待を高めるしかない。その対策として白川氏があげたのは、次の3点だった: * 経済活動を自由に行えるようにする規制改革 * 人材や資金が動きやすくする労働・資本市場の改革 * 構造調整を支援するセーフティネットの整備 こうした改革は、すべて実体経済の効率を上げる政策で、日銀の役割はその調整コストを減らす側面支援である。グローバル時代には、過剰な金融緩和はキャリー取引を誘発し、アメリカの住宅バブルの一因になった。いま新興国でそういう状況が起き始め、「金融緩和はやめてくれ」といわれている――と白川氏は語っていた。Mankiwの教科書を読めば、こういう考え方は「日銀理論」ではなく、世界の標準的なマクロ経済についての理解だということがわかるだろう。