それでも頑張っている人達
そもそもテクノロジが急速に進化するこの時代にあって、テクノロジの最先端を理解できていないような経営幹部が古いIT企業にはごろごろ存在している。産業界全体を見渡してみると、大企業の経営層にはいまだに自分でメールの読み書きをしてない人が多い。つまり秘書がメールのやりとりを外部と行って、プリントアウトをボスにうやうやしく渡すのだ。IT業界大手ではさすがにそんなことはないが、しかしハードウェアベンダーの経営者だと「ハードのことは知っているが、ネットのアプリケーションやサービスについてはからきし」という人が少なくない。  NTTドコモを退職して今はドワンゴやGREEの役員などを務めている夏野剛氏は、前にこう話していたことがある。「ドコモの役員たちはだれひとりとして自分たちが若者向けに提供しているiモードのアプリケーションを使いこなしてなんかいない。そういう人たちが役員会で『このサービスをいつ投入するか』といった決定をしているんだから、うまくいくわけがない」
そしてeBayに、無謀にも「日本の未来をつくる若者として、おたくと組んでもいい」とメールしたんです(笑)。当然、断られましたが、「いいことを教えよう。ネットの法則で最初に始めた者はすごく優位なポジションにつく。我々より先に始めて、うちの会社に買収してもらったら?」と書いてあったんです。「これはいい」と思いました。
「どんな会社でも数十年に一度は大きな環境変化がある。企業が発展してゆくには、小さな合理化の継承ではなく、大合理化する時が必要となる。そういう意味では現在は自分の会社をどうするか、長期的に考えるよいチャンスだ」
アメリカのオフィスワークの生産性を支えているのは、色々な要素があると思いますが、最大の問題はコミュニケーションです。社内の意思疎通はメールがほぼ100%です。必要な管理職や関連部門についてCCしておけば、メール1本で情報が上まで上がりますし、かなりのスピードで決定も降りてきます。人材の観点から言えば、職位が上がれば上がるほどメールの処理数が増えるので、処理能力も要求されます。エグゼクティブとは「多量の情報処理をする機能」と言って良く、そのような上級管理職に対して「事前に文書を送った上で直接説明に上がる」などということは、余程複雑な内容でその場のアドリブでの質疑応答の方が生産性が高い場合以外はありません。結果的に情報の行き来も判断もスピードアップされて、効率は非常に高くなっていると思います。  そう考えると、ITによる生産性の向上分の何パーセントかが「勤務時間中のネットサーフのお目こぼし」という形で、従業員に還元されているという見方もできるでしょう。その結果として、ネット通販が活性化して個人消費に寄与しているのであれば、経済全体で見てもある種の好循環になっているというわけです。まるで、手品のような話です。ですが、ITの持っている爆発的な生産性というものは、うまく扱わないと付加価値の金額を破壊して構造デフレを引き起こし、結果的に人々の生活水準向上にはつながらない危険があるのです。そんな中、この「サイバー・マンデー」の謎というのは、色々な角度から見て興味深い現象のように思います。
私の印象では、こういう世代間デジタル・デバイドともいうべき亀裂が、役所と企業とを問わず世代横断的に走っていると思う。その境目は現在の50歳ぐらいで、私などはデバイドされているほうだろうが、失うものがないので、わりあい客観的に見ることができる(と思う)。私と同年代の経営者や官僚になると、部下から「一次情報」が上がってくるので、外部のメディアの客観的な情報より都合のいい身内の情報を信じる確証バイアスが強い。 こういうバイアスはある程度はどこの国でも見られるが、日本で特にその傾向が強いのは、年功序列によって団塊世代のアナログ老人がいつまでも経営者や官庁の幹部に居座っているためだろう。これは残念ながら、今から教育しても無駄で、彼らが退場するのを待つしかないが、それにはまだ時間がかかる。ビジネスマンは手遅れにならないうちに、つぶしのきくスキルを身につけて転職するか起業するなど、人生のオプションを広げておいたほうが安全だろう。
上田さんは愛媛県の生まれだ。小学校の頃に父上が失業したため、一家は貧窮のどん底に。幼い上田さんが新聞配達やアイスキャンディー売りをして家計を支えた。だから、仕事があることの大切さを知っている。  愛媛県の八幡浜高校を卒業後、東京のガス会社に検針員として入社した。50歳の時には他社に出向し、経営難に陥っていた会社2社を立て直した。  当時は「リストラ」が再建の決め技とされていた。ここで言うリストラとは、従業員の解雇である。だが上田さんは、「社員を消耗品扱いするのはおかしい。社員と、協力企業を第一に考えるやり方が最終的には最も良いはずだ」という信念を持ち、リストラを行わなかった。従業員を説得し、新たな仕事を獲得し、金融機関と折衝した。上田さんの熱心さと真摯な態度に周りじゅうが感化され、見事に立て直した。

たとえば、喫煙所や給湯室などでの会話を通じて補完しないと、仕事に必要な情報が十分に得られない。あるいは飲み会に参加した人だけが常に重要な情報を得ている──。このように、公式の会議やメールでは全体像がわからず、周辺から情報をかき集めてやっと合点がいくような組織ほど劣化が進み、きわめて重くなっているといえる。
 社内で個人的なネットワークや情報源が増えることは一見メリットに思える。しかし調査によると、実はそれ以上のデメリットがつきまとうという意外な結果が出た。

 図を見てほしい。組織内に知人の数が増えると業務を遂行するうえでの「支援者」数は確かに増える。ところが、業務遂行の際に説得、根回ししなければならない「説得者」の数はそれを上回る勢いで増えていくのだ。
 知り合いや顔見知りが多いと普通、目上の人や同僚からアドバイスや手助けを受けやすくなるだろう。しかし、そのような状況では、事前に話を通しておかねばならない「関係者」は、それ以上に増えていく。われわれの調査によれば、知人の数は組織の規模に比例して多くなる。つまり、知り合いが増えることは、単に個人的な知り合いが増えるというよりも、むしろ仕事のうえで関係がある人が社内に増えて、その結果、組織内部での調整に無駄に手間がかかってしまうことを意味するのだ。